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美にリードされた人生、事業の芸術化
佐三氏は出光美術館オープン時に出光興産の会長職に退き、最晩年の肩書きは美術館の館長であった。日本の美の伝統を海外にも知らせたい、有名なもの以外にもいいものはある、との想いから、海外での美術展を企画。そして、その展覧会準備中の1981年、95歳でこの世を去った。目先の利益だけでなく何歩も先を見つめ、ぶれないように信じる道を進む。そんな企業人としての姿勢と、美術品蒐集においての審美眼は、見事に重なっていた。美術品が事業に影響を与えていたといっても、過言ではないだろう。製油所の周りにグリーンベルトを造るなど、先を見越した事業の在り方。良質な音楽番組の提供などの積極的なメセナ活動。そうした佐三氏のDNAは今に伝わり、時代に合わせて形を変えつつ、その精神は生き続けている。

「陶磁の東西交流」12月23日まで
17〜18世紀、柿右衛門や古伊万里の日本陶磁が強い憧れをもって西欧の王侯、貴族に受け入れられた。その交流史上のさまざまなエピソードを交え、楽しみながら鑑賞できる。

●出光美術館
東京都千代田区丸の内3-1-1 帝劇ビル9階
TEL03-5777-8600(ハローダイヤル)
http://www.idemitsu.co.jp/museum/
「陶磁の東西交流」展にて展示されている作品。(左上)色絵司馬温公甕割文八角鉢 日本 江戸時代前期 柿右衛門(右上)同 ドイツ 18世紀 マイセン窯(左下)同 イギリス 18世紀 チェルシー窯(右下)同 オーストリア 18世紀 ウィーン窯 元になった東洋の磁器と、それを熱心に写し、学んだヨーロッパの陶磁器との比較展示で紹介。描かれている情景への理解が浅いためか、不思議な絵柄に変わってしまっているのも面白い。
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