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(左)指月布袋画賛 仙厓 江戸時代 (右)双鶴画賛 仙厓 江戸時代 1,000点あまりを有する仙厓のコレクションから、最初と最後の一枚。地域限定の人気だった仙厓が全国区の知名度を得たのは、出光コレクションのおかげだといえる。
企業家とアート
—出光美術館2
Text Yoko Yamamoto
仙厓に始まり終わった美術品蒐集
出光佐三が美術品を蒐集するようになったきっかけは、19歳の学生だった頃、博多の古美術の売り立てで出会った『指月布袋画賛』という禅画。今や出光美術館で日本一のコレクションを形成している、仙厓の作品だ。もともと父親が絵をたしなんでいたため美術品に触れる機会は多かったのだが、「この絵を初めて見て、しかも恋をしたんです」と後に語ったほど仙厓には惚れ込み、父親に頼み込んでの初めての美術品購入となった。当時は重要な禅の教えが隠されているなどとは知らず、ただ、ほのぼのとした絵柄の楽しさに惹かれていた。が、仕事を通じてその絵を見ていくうちに、より深みを持って心に沁みるようになってくる。布袋さんが指し示す指の先には、描かれてはいないが月がある。円は悟りの境地。目先の些細なことに捉われず、大局を見よ、と説いているように思えてきたのだ。仙厓で感じた美に対する直観のようなものは、その後の美術品蒐集にもつながっていく。
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