
(左から)藤島武二「黒扇」 1931年 石橋財団ブリヂストン美術館、青木繁「海の幸」 1904年石橋財団石橋美術館、青木繁 「わだつみのいろこの宮」 1907年 石橋財団石橋美術館
名作揃いの日本近代美術コレクション
さらに特筆すべきは、日本の近代洋画作品群。黒田清輝、藤島武二、岸田劉生、梅原龍三郎、佐伯祐三に岡鹿之助…と、キラ星のごとき洋画家たちの名作が揃っている。美術館設立のきかっけになったといってもいい画家、青木繁の作品も『天平時代』、『海景(布良の海)』を所蔵。代表作である『海の幸』、『わだつみいろこの宮』(ともに重要文化財)をはじめ多くの作品は、同じく石橋財団が運営する福岡の石橋美術館に所蔵している。日本の古代神話などに想を得た青木の作品は浪漫的かつ神秘的で、単なる西洋絵画の模倣ではなく、オリジナリティあふれたものとして今も高い評価を得ている。が、生前は正当な評価を受けられず、放浪と失意の果てに28歳の若さで世を去ったことが、伝説の画家的な色合いをいっそう強めている。