
1952年に開館したブリヂストン美術館(撮影は1955年頃)。©ブリヂストン美術館
西洋美術へ拡大し一大コレクションに
日本の近代洋画については青木繁や師でもある坂本繁二郎、藤島武二をはじめ、充実したコレクションを形成。さらに戦後になってそれを、西洋美術へと拡大させていった。日本近代洋画を築いた画家達がその手本としたのは、フランスの近代画家、具体的には19世紀末半ば以降のバルビゾン派や印象派だった。正二郎が第二次大戦後、今までのコレクションの幅をヨーロッパに向けたのはそういう理由があったからである。終戦後、日本国内にあったヨーロッパ絵画が世に出てきたことも幸いした。その後、海外の有力画商などが来日し、セザンヌの“レスタック湾”、ゴーギャンの“タヒチの娘たち”のような名作の数々が海外に流出していったことを考えると、正二郎が戦争直後にコレクションを拡大できたのは、本人はもとより、社会にとっても幸運、有益なことだったといえるだろう。その後、美術館を開館、1956年には石橋財団を設立し、美術館およびコレクションの管理、運営を個人の手から財団法人に移している。