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(左)美しい家具や調度品が置かれた特別室。(右)ヨーロッパ調のバスタブ。写真は特別室のもの。
ノスタルジアへの招待状を手に
「雲仙観光ホテル」

Photo Tadashi Ikeda(viewz) Text NILE'S NILE
人を深い眠りに誘っていた夜のしじまが、山鳥の鳴き声で破られる。窓からは一筋の光が忍び込み、心地よい目覚めが訪れる。吸い込んだ山の清らかな空気は、体の隅々にまでいきわたり、いままでにない活力を与えてくれそうだ。
 ここ「雲仙観光ホテル」は、昭和9年に日本で最初の国立公園に指定された長崎・雲仙にあるクラシカルな雰囲気漂うホテルである。歴史上屈指の国際都市であった上海に在留する外国人を招くため、昭和10年10月10日に開業した。多くの旅客でにぎわう上海航路でやってきた異国の旅人たちは、スイスの山小屋風の建築と、夏でも清涼な気候に驚き、心癒されたに違いない。
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