
「背を向けた若い女性のいる室内」1904年 ラナス美術館
Photo (c)Niels Erik Hφybye
Photo (c)Niels Erik Hφybye
静けさが語る哲学
もう一つ、ハンマースホイの作品に顕著なのが、「物語
の不在」である。彼の作品の多くは、彼自身の生活の場
が繰り返し描かれているにも関わらず、その絵は、彼
の生活について何も語っていない。鑑賞者はいかなる
理解の方向も与えられず、そこで行くべき方向を見失
ったまま取り残されてしまうのである。
だからといって、決して居心地が悪いわけではな い。むしろそうした不安感を抱きつつも、単にうら淋し いとは言い難い、不思議な「何か」が漂う空間が創出さ れており、その「何か」が鑑賞者の心を捕らえて離さな いのだ。
だからといって、決して居心地が悪いわけではな い。むしろそうした不安感を抱きつつも、単にうら淋し いとは言い難い、不思議な「何か」が漂う空間が創出さ れており、その「何か」が鑑賞者の心を捕らえて離さな いのだ。