時代に揺らぐことのない<本物>の美
今回、LUXKNOWLEDGEのために伊藤氏が制作したのは「絵巻物 花尽くし」の袋帯。今まで帯は、縦に柄が流れる掛け軸を作る気持ちで創ってきたが、この帯は横に柄が流れる、いわば屏風型の絵付けになっている。四季の移ろいは花で表現されており、その美しさは季節ごとの風の匂いや、温度までも写し取っている。
「締めたときに、お太鼓部分の裏にどの花が来るかまで、緻密に計算して作っています。裏は横からちらりと見えますから、そこに来る色は非常に重要なのです。はっとさせるような色がわずかにのぞくことで、一段とその方の着物姿がドラマティックになります。」
生地、絵、色、着物と帯の取り合わせ、小物使いに至るまで、そのすべてに心を尽くしてこそ極めることができる美しさ。「3年経てば古い」と業界ではひそかに言われる友禅だが、こだわりから生まれた<本物>の美しさは、時の移ろいに左右されることなく、手に取るたび無上の喜びを与えてくれる宝物として愛されていくだろう。
「締めたときに、お太鼓部分の裏にどの花が来るかまで、緻密に計算して作っています。裏は横からちらりと見えますから、そこに来る色は非常に重要なのです。はっとさせるような色がわずかにのぞくことで、一段とその方の着物姿がドラマティックになります。」
生地、絵、色、着物と帯の取り合わせ、小物使いに至るまで、そのすべてに心を尽くしてこそ極めることができる美しさ。「3年経てば古い」と業界ではひそかに言われる友禅だが、こだわりから生まれた<本物>の美しさは、時の移ろいに左右されることなく、手に取るたび無上の喜びを与えてくれる宝物として愛されていくだろう。


(上)「絵巻物 花尽くし」の帯(部分)。帯全体から感じた壮大さとは正反対の、どこまでも精緻な絵と緻密な技に再び驚かされる。(下)それは一本の帯というより、圧倒されるような美しさを持つ“絵巻物”だ。