

(左)締めたときに見える部分だけでなく隠れる部分も使い、大胆に描かれた藤の花。不二屋の原点とも言うべき作品だ。(中・右)「縁付き」と呼ばれる伝統的な手作業で押された、現状では使われていない本金とプラチナをあしらった「蔦」の帯(350,000円)。下に友禅で黒を敷き、削りだしによって陰影を与えている。
創り手自身が惚れこみ技を尽くした逸品
不二屋のものづくりの特徴を、一番説明しやすいのは帯だろう。
伊藤氏は「多くの場合、帯はお太鼓という背中側の見える部分にだけ絵を描きます。しかしその面積だけに描くとなると、絵が小さくなり、筆遣いも世界観も小さくなってしまう。不二屋の帯は、結んだときに隠れてしまう部分も使い、掛け軸のように大きく絵を描きます。それでいてもちろん結んだときにも美しい絵が現れる。見えない部分に隠された世界が、見える部分の絵に奥深さと力強さを与えてくれるのです。」と話す。
衣服という実用品でありながら、絵画にも等しい美しさを追求する。
「京友禅は生地を織る人、絵を描く人だけではなく、真糊、友禅、引き染め、箔置き、刺繍など、細かく分業化され、それぞれ専門の職人が携わって出来るもの。私が何度も京都に足を運び、実際に『この人にこそ頼みたい!』と感じた職人に頼み込んで、ひとつひとつ創りだすのが、不二屋の着物。こだわり尽くした<本物>を創るには、コストも時間もかかります。しかし職人自身もそういうものづくりを喜んで、持てる技術のすべてを出し切って作業してくれる。『着ていないときは飾っておきたい』と言われるほどの、美しいものだけを、私はお届けしたいのです。」
伊藤氏は「多くの場合、帯はお太鼓という背中側の見える部分にだけ絵を描きます。しかしその面積だけに描くとなると、絵が小さくなり、筆遣いも世界観も小さくなってしまう。不二屋の帯は、結んだときに隠れてしまう部分も使い、掛け軸のように大きく絵を描きます。それでいてもちろん結んだときにも美しい絵が現れる。見えない部分に隠された世界が、見える部分の絵に奥深さと力強さを与えてくれるのです。」と話す。
衣服という実用品でありながら、絵画にも等しい美しさを追求する。
「京友禅は生地を織る人、絵を描く人だけではなく、真糊、友禅、引き染め、箔置き、刺繍など、細かく分業化され、それぞれ専門の職人が携わって出来るもの。私が何度も京都に足を運び、実際に『この人にこそ頼みたい!』と感じた職人に頼み込んで、ひとつひとつ創りだすのが、不二屋の着物。こだわり尽くした<本物>を創るには、コストも時間もかかります。しかし職人自身もそういうものづくりを喜んで、持てる技術のすべてを出し切って作業してくれる。『着ていないときは飾っておきたい』と言われるほどの、美しいものだけを、私はお届けしたいのです。」
