

図書館のいたるところに作品が展示された今回の展覧会。いかにもカルらしい、ユーモアが感じられる。
作品の芸術をより引き出す図書館の仕掛け
建築家アンリ・ラブルストによるフランス国立図書館ラブルスト閲覧室は、鉄とガラスを積極的に用いた19世紀新建築として名高い。通常、この閲覧室には、専門研究者のみで、一般閲覧者はアクセスできない。その由緒ある厳格な閲覧室の随所に、カル作品が展示される。書見台には、手紙や女性達の解説がおかれ、机上には液晶テレビが設置され、書庫前の司書席の上方に設置されたスクリーンではビデオ作品が流され続けている。つまり、訪問者はあたかも、通常の書籍閲覧をするかのようにカル作品を閲覧していく仕組みだ。ごく自然に、しかしよく見てみるとソフィー・カル展覧会場と化しているエイプリルフールのようなアイデアは、カルのエスプリを見事に表現する。会場の美しさと共に、フランスならではの文化支援の懐の深さを感じないではいられない展覧会であった。
●フランス国立図書館(リシュリュー)/ラブルスト閲覧室(Bibliotheque Nationale de France, site Richelieu / Salle Labrouste)58 rue de Richelieu 75002 Paris●Tel33(0)1-53-79-59-59
●フランス国立図書館(リシュリュー)/ラブルスト閲覧室(Bibliotheque Nationale de France, site Richelieu / Salle Labrouste)58 rue de Richelieu 75002 Paris●Tel33(0)1-53-79-59-59