

(上)『変貌の天使』展入り口。年に一度のイベントに足を進
める見物客が楽しげだ。(下)生臭い情景絵画に対し、ファー
ブルは彫刻作品『歌う鳩と盗むネズミ』を設置。(C)photo
Attilio Maranzano,(c) Angelos.(c)Adagp, 2008
古(いにしえ)の芸術家たちへの視線
ルーヴル美術館の北方絵画展示室で開催されている
『変貌の天使』展は、ヤン・ファーブルが自身の作品と
共に、美術館に所蔵されているいにしえの巨匠達の作
品を、精神的なドラマチュルギーによって、演出した空
間だと言えよう。所蔵作品に見いだされる古代的なテ
ーマの中から、死と再生、虚栄、犠牲、金、狂気、カーニバ
ル、戦闘、アトリエといった展覧会を構成する主要テー
マを汲み出し、自らのデッサン、立体、インスタレーシ
ョン、ビデオ、フィルム、パフォーマンスによる主要な
30作品ほどを展示。彼の世界観といにしえの世界観を
、テーマによって結びつける試みだ。常々、昆虫や動物
の世界との神話的な繋がりを彷彿とさせる、ユーモラ
スでミステリアスな彼の作風は、この展示空間に不思
議な融合をみせており、いにしえの巨匠達の芸術世界
に新しい解釈を与えている。


(上)『死のメッセージ』。テーブル上のミミズクが絵画『最
後の晩餐』を凝視する。(c)2008 Musee du Louvre /
Antoine Mongodin(c) Adagp, 2008(下)グロテスクな作品
『不眠の神への奉納』。