一方、このバブルの苦い経験から、不動産価値の新
しい可能性を見直す動きも生まれた。それは、前近代
的であった不動産市場に金融市場の論理を適用し、
不動産から得られる家賃などの恒常的な利益から、
不動産価値を算出するやり方だ。そして、その価値を
証券化する動きが2000年に始まった。これは米国で
の不動産証券化の成功に習ったもので、不良債権の
処理、不動産市場の活性化、分散投資を求める金融市
場などのニーズにもあった商品であった。また、不動
産が持つリスクをコントロールし、資産としてのプラ
ス特性を引き出す手法でもあった。それは、金融市場
のデリバティブ(金融派生商品)というリスクヘッジ
を取り込んだ、金融工学と類似する技術と発想であ
った。
