逆に言えば、盆栽は日本の自然を描いていること
になる。つまり、日本人はたった1本の木で、日本の風
景を描いてきた。
「さらに、雪月花の世界に生きてきた日本人は盆栽 に、1本の木の後ろに広がる景色も見てきた。もちろ ん実際には見えないのですが、目の前にある木の姿 から、子どもの頃に駆け回った裏山を見たり、強い風 の吹きつける断崖を見たりする。つまり、盆栽という のはイマジネーションの遊びなのです」
見て想像するだけではない。盆栽を自分でつくり、 育てようとすれば最低でも5年、10年とかかる。その5 年、10年先の姿を思い浮かべながら剪定し、針金成形 を施していく。それには想像力、そのための素地ーー 経験や教養がなくてはならない。そう、盆栽文化が日 本に生まれたのは、花鳥風月を愛で、風流を好む美意 識が日本人のDNAに刷り込まれているからこそ、なの だった。
「さらに、雪月花の世界に生きてきた日本人は盆栽 に、1本の木の後ろに広がる景色も見てきた。もちろ ん実際には見えないのですが、目の前にある木の姿 から、子どもの頃に駆け回った裏山を見たり、強い風 の吹きつける断崖を見たりする。つまり、盆栽という のはイマジネーションの遊びなのです」
見て想像するだけではない。盆栽を自分でつくり、 育てようとすれば最低でも5年、10年とかかる。その5 年、10年先の姿を思い浮かべながら剪定し、針金成形 を施していく。それには想像力、そのための素地ーー 経験や教養がなくてはならない。そう、盆栽文化が日 本に生まれたのは、花鳥風月を愛で、風流を好む美意 識が日本人のDNAに刷り込まれているからこそ、なの だった。

江戸時代から続く「清香園」4代目園主、山田登美男氏。山田氏は五葉松の名品「日暮」を手がけた達人で、98年のクリントン元
米大統領来日の際にも、氏の盆栽がプレゼントに選ばれたほど。現在、イタリアに支部を持ち、ヨーロッパ圏10ヵ国に数百人の
生徒がいる。