
ヴァレンティノ・ガラヴァーニのポートレート。情熱と野心と名声を体現する存在として、モード界に君臨した。(C) DR

女性美の使者、
ヴァレンティノの半世紀 vol.2
ヴァレンティノの半世紀 vol.2
Text Yuka Toyoshima
「プレタポルテ」という戦略
68年、時代の寵児となったヴァレンティノは、パリ・モンテーニュ通りに、初のプレタポルテのブティックをオープン。その後、商Valentinoをイタリア・ブランドから、国際企業として発展させる為、プレタポルテの変革に着手する。手工芸に迫る良質プレタポルテ製品の製造を目指し、唯一存在していたオートクチュールによる既製服業者、フランスのMendes社と、74年に契約。イタリアでは、『赤い旅団』の出現により政治・社会的な状況が悪化しており、シネチッタの『甘い生活』の時代が終焉。産業は停滞していたが、既に国際的な名声を得ていたヴァレンティノは、そんな中にも例外的な躍進を続ける。79年にMendes社と決別、トリノの既製服業者Finanziario Tessileグループと契約、イタリアにプレタポルテの製造を移した。この後、イタリアの製造業者はフランスからの遅れを挽回し、次第に競合相手へと成長していく。

ヴァレンティノ最後のオートクチュール。2008年春夏コレクションのリハーサル風景。:(C) François Halard / Rizzoli International Publications