世界の贅沢、NILEの贅沢

100%ガウディの集大成ここに極まれり

数多くの遺作を残したガウディだが､世界遺産に登録され ている建築は15を数える。初めてガウディ作品を訪れるな ら､『カサ・ミラ』がよいのではないだろうか。理由は､ガウデ ィが竣工させることができた最後の遺作で､「100%ガウデ ィ」の集大成だからである。
外観はまるで白い溶岩やゼリー状の巨大な生命体のよう だ。アパートメントとして設計されているのだが､本当にこ の中に人が住めるのだろうかと思いつつ中へ入ると､中庭 を大切にするスペイン様式の住宅が現れる。とはいっても､ そこはもちろんガウディ作品。機能を損なわず､成長期の植 物のように自由奔放な曲線を描いているのだ。訪れた際に は､ぜひ屋上に上がってほしい。地面から伸びてきた曲線は ､敷地面積からは考えられないほど広い立体迷路のような 構造のルーフ全体を覆い､煙突を保護する彫刻体へとたど りついている。やさしい曲線は､今日も宇宙と接しているの だ。

(左上）屋上に設置されている煙突カバーは､特に生命の息吹を感じる構造物。(右上)ベランダには角がなく､や わらかな曲線に包み込まれる。(左下)アパートメントとしての機能にも一切の手抜きはなく､観葉植物が安全柵 の役割を果たしている。(右下)内部は吹き抜けで､光が差し込む造り。