
成城学園へと真っすぐ連なる美しいイチョウ並木

街の薫り−成城
Photo TONY Text Chiharu Ono
リベラルな雰囲気漂う邸宅街
世田谷区成城。田園調布、松濤とならび都内屈指の高
級住宅街に挙げられる街だが、強烈なブランド性とと
もに、どこか朗らかで若々しいイメージがあるのは、学
園として形成された成り立ちからくるものだろうか。
新宿区牛込柳町にあった成城学園が、成城に移転した
のは1926年。当時は砧村と呼ばれ、のどかな田園風景
が広がっていた。校長の小原國芳は教育者であると同
時に、学園都市にふさわしい街づくりに尽力、学園建
設資金捻出のため、周辺の土地2万坪を買い、区画を売
り出した。折りしも、郊外に路線拡張を進めていた私鉄
小田急線の開通に伴い、成城の街は駅前を中心に急速
に発展、活気にあふれた。当初は、民俗学者の柳田國男
、作家の野上弥生子らの文士が多く住み、大正デモク
ラシーを謳歌する自由な雰囲気が街に漂っていたと
いう。