
ジャン・ヌーヴェル 世界を眩惑する建築家
Text Akiko Makinouchi


(左)精悍な風貌のジャン・ヌーヴェル。今回の受賞で偉大な建築家としての名を確たるものにした。Photo by Christophe
Petit-Tesson Courtesy Ateliers Jean Nouvel(右)スイスのルツェルン文化会議センター。Photo by Philippe Ruault
技術と素材を駆使し建築に現代性を反映
才能とビジョンある建築家を表彰する「プリツカー賞」。建築界のノーベル賞と評され、過去の受賞者にはフ
ランク・ゲーリー、リチャード・マイヤー、ノーマン・フォスターらが名を連ねる。この栄誉ある賞の2008年度
の受賞者となったのが、東京・汐留の電通本社ビルも手がけたフランス人建築家ジャン・ヌーヴェルである。
主催する米ハイアット財団は、授賞理由を「新しいアイデアの勇気ある追求、建築界の境界線を広げるため
の規範への挑戦」とする。特に「想像力、表現の豊かさ、クリエイティブな実験へのこだわり」が高く評価され
た。これを受けヌーヴェルは「私の興味は、歴史の再考ではなく、同時代の現代性を反映した建築にある。私
の作品は、現在可能な技術とマテリアルを用いてわれわれに今何ができるのかを扱ったものなのです」とコ
メントしている。今、世界から最も注目を集めるジャン・ヌーヴェル。彼の構築してきた建築世界はどのよう
なものか。

(上)オフィスビルの乱立する東京・汐留地区でもとくに目を惹く電
通本社ビル。2002年に完成した。