








ポタジェには、一年を通して400種を超える野菜や果物、香草が育てられている。絶滅してしまった野菜の種探しからはじめ
て復活させたものや、日本から種を持ち込んで育成を試みる野菜などもある。自然な状態の大地で育つ野菜の味。それがアラ
ン・パサールの料理のベースとなっている。
自分の料理は自分の野菜で
アラン・パサールが、「アルページュ」をオープンしたの
は、1986年。10年後の96年に、この店はミシュラン
最高峰の3つ星を獲得し、フランスを代表するレスト
ランの1つとなった。当時、パサールは、肉の火入れの
スペシャリストとして高い評判を得ており、その神が
かり的な技術が生み出す鳩や鶏などの料理は、世界中
の食通を唸らせた。そんなパサールが、2001年、今
後は野菜主体の料理を作る、と宣言した。当時の業界
内に起こった驚きや否定的な意見はいまだに記憶に
新しい。肉食信仰の国で、肉の神様が肉を排除し、野菜
という、当時はまだ肉や魚のつけ合わせに過ぎない食
材を主役にする、と言い放ったのだから。それから7年
の時が過ぎた。02年にはフランス北西部のロワール、
ついでノルマンディーに土地を購入し、今では、あわ
せて5ヘクタールほどのポタジェに、400種を超え
る野菜や果物を栽培している。さあ、パサール自慢の
ポタジェを見に行こう。