


(左)中国の共産主義建築の中でも群を抜いて完成度が高い『人民大会堂』は、政治の中枢として機能し
ている。(上)明の時代の代表的建造物『万里の長城』。東端に位置する虎山長城の楼閣部分。(下)毛主席
紀念堂もまた、シンメトリー構造を持つ共産主義建築の代表作である。
共産主義建築と明代建築のマッチング
天安門広場に立つと、本当に同じ国の建物なのか疑いたくなる二種類の建築物に囲まれる。北に建つ天安門は、
明の時代から続く装飾鮮やかな中国古来の歴史的建築物。城郭が残る北京では、明代の楼閣がランドマークと
して残っていたり、近代的なビルの一部にレプリカとして使用されたりするなど、どこでも見ることができる。
残る三方には共産主義建築が並ぶ。スターリン様式と呼ばれる人民大会堂が西に、中国国家博物館が東に、南に
は毛主席紀念堂が建っている。これらはどれも威圧的で巨大な外観を誇り、日本人には馴染みのない建造物で
あろう。しかし、これら共産主義建築群もまた、どの街でも見かける通常の風景なのだ。つまり、現代中国におい
ては、明様式と共産主義様式の混合体こそが「中国らしさ」となっている。雨後のタケノコのように林立し始めた
高層ビルディングや現代建築は、今後の歴史に割って入ることができるか試されている存在なのだ。