


(上)嵐のような開発も落ち着きを見せ始めた上海の浦東地区を臨む。香港と見間違えてしまいそうな夜景。(左下)ショッピング
モールの内観は、日本などでもよく見かける吹き抜けタイプが流行している。(右下)北京オリンピックが開催される通称『鳥の
巣』はスイスのヘルツォーク&ド・ムーロン作。東京・表参道にあるプラダ・ブティック青山店も彼らが手がけた。

変貌する中国
変貌する建築
変貌する建築
Photo&Text Urata Hiroshi
都市部は世界の建築家の試験場
宇宙船のような塔や、卵のような施設、アルファベッ
トの「A」のような形状のビルなど、中国の都市部では奇
抜な形状の建物がどんどん生まれている。その勢いは
一般的なオフィスビルやマンションなども同様で、と
あるデータによると、なんと全世界で消費されるコン
クリートの4分の1が中国で消費され、3分の2のクレー
ンが稼働しているという。これらの現代建築やビルな
どは、良く言えば個性的、実験的なのだが、厳しい言い
方をすると「周囲との景観調和を図れていない」「中国
らしさがない」「時代遅れになると後で困るだろう」と
いうのが、一般的な専門家の見方である。なぜ、問題点
を無視して斬新な建物がどんどん建つのか。その答え
はさまざまだが、もしかすると私たちが過去に経験し
た道なのかもしれない。何もかもが発展するとき、人
は苦労した頃の痕跡を遠ざけたくなるし、「これまでに
ないもの」こそが輝いて見えるのだから。